【電車】イチゴ大福と僕と見知らぬサラリーマン

一昨日上げたブログと、同じ電車でまた昨日稀有な体験をしたため、その熱が冷めないうちに、その同じ電車で起きた過去の不思議な話しを書いておく。

それは、一昨日のブログで書いた事件より、さらにちょっと前、
また同じ電車と同じ時間帯の出来事。
電車に乗り込むと出発駅でまだ出発まで時間があることから、それほど席は埋まってない。
そこで、ドア横の席に座る。
向かいの座席には、老夫婦と大学生らしき女性が並んでいる。
すると、横のドアから若いサラリーマンが乗ってきた。
アルコールが入っているようで少し顔が赤いが、誠実そうな顔だった。
するとそのサラリーマンは、僕と老夫婦の間の通路に立ったまま
「やっべ。マジでやばいなぁ。」
と言っている。
何がやっべなのか、全くわからなかったが、手に持ったビニール袋を見ながら、
また「やっばいわぁ。」と言ってる。
そこで、僕もそのビニール袋を見た。

それは半透明のタイプで、よく見ると、大量のどら焼が透けて見える。
そのどら焼は、トレイにラップがしてあるもので、透けて見えるだけでもかなり入っており、トレイのいくつかはラップがはずされ、どら焼がビニール袋内に出ている。

それを見て、やっべやっべ言ってる。
そのどら焼インフレ状態がヤバイのかヤバくないのかと言われたら、それをヤバいと評価する個人がいてもおかしくはないのかな、など思っていると、そのサラリーマンが
「これ…~(駅名)までもつかなぁ…」
と言った。

その駅名は、この出発駅の次のターミナル駅に当たるもので、時間にして30分くらいで到着する。
ここで、ちょっとこの人何言ってるんだろうかと、混乱を来した。
前の老夫婦と女子大生は明らかにこれに気づいていて、女子大生は笑いを堪えているのか顔を伏せ、老夫婦はいぶかしげな表情で、ちらちらサラリーマンを見ている。
すると、サラリーマンは僕の左に座り、手に持ったビニール袋を覗き混んでいる。
そして、それに手を突っ込むと、立ち上がり、
「良かったら、これ食べて下さい。~駅までもたないんで。」
と向かいの老夫婦に何かを渡そうとした。
サラリーマンの配慮なのだろう。
裸のどら焼ではなく、それは個包装された二つのイチゴ大福だった。
にしても、やはりそれは普通の行為ではないので、老夫婦も固い笑顔で
「ありがとう。でも大丈夫です。お気持ちだけ。」
とやんわり断る。
それでも、サラリーマンは
「あ、もしいらなかったら捨ててくれて構いませんので。」
とペコペコ頭を下げながら、イチゴ大福を二人の膝に置いた。
そして、また袋に手を突っ込むと
老夫婦の隣の女子大生に同じように言って、膝にイチゴ大福をそっと置いて、満足そうに僕の左に戻った。
そこで、電車が動き出した。

そして思った。
僕には? と。
一番近いの僕じゃね?
甘いものに目がない僕は、脳内に糖分が不足して判断能力が低下してる今、
おそらく、リスクをおかしてでもそのイチゴ大福を食べるぜ?と。
加えて、程よい距離感で、「その大量のどら焼どうしたんですか?」みたいな会話で、イチゴ大福の恩に報いる構えはもうできてんぜ、と。
しかし、残念ながらそのサラリーマンは満足そうに眠りに落ちていた。

君は今、選択を誤った
そんな忸怩たる思いを乗せて電車は走った。これを勝手に『イチゴ大福の変』と呼んでいる。

連続で電車ネタをあげたので、今度は違うのにします。
ただ、電車内での不思議な出来事はまだまだあるので、今度あげるときはその中の『エセやくざ事件』と呼んでるものを書きます。
以上。